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CAST:アニス・ルーク・(ピオニー)
アニスとルーク、陛下を話のネタに暇つぶしをする の巻

笑う小悪魔

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 物資調達と経過報告に立ち寄った、グランコクマ。ついでに燃料補給も済ませてしまおうと、アルビオールも調整中。昼はとうに過ぎ、かといって夕刻にはまだかなりの間がある。
 ルークとアニスは、そんな微妙に手持ち無沙汰な時間を、宿屋のロビーで過ごしていた。
「あー……暇だな」
「そうだねえ。忙しい最中にポッカリ時間が空いちゃうと、何していいかわかんなくなるよねえ。……ガイは?」
「ナタリアの買い物に付き合うって言ってたぞ。貴族になっても使用人の感覚が抜けない奴だよな」
「大佐は、宮殿か軍本部に泊まりだよね」
「じゃねえの? 部屋も取ってねえし。……ティアは?」
「ティアは……、さあ?」
 一瞬考える素振りをしたあと、結局首を傾げたアニスに、ルークは重ねて問う。
「部屋にもいないのか?」
「いないよ。あ、ひょっとしたら……」
「ひょっとしたら?」
 言葉尻を繰り返すルークを横目で見遣りながら、アニスは多少意地悪な声音を作った。
「陛下のブウサギ、ティアの可愛いもの判定に引っ掛かってたよね。陛下も満更じゃなさそうだったし、いつでも遊びに来い! っとか言われちゃってるかもねー」
「……な……っ!」
 言葉に詰まって、頬にカッと赤味がさしたか思うと、それと同じイキオイで青ざめて。
 別にそうだって言ったわけでもないのに、ルーク的にティアは陛下のとこだって確定? ティアはルークを何かにつけて行き過ぎだっていうけれど、こりゃ確かにねーとアニスは生温い目でその様子を観察する。
 俯いて、何か考え込んだかと思うと、キッと顔を上げて。
 このまま王宮にでも乗り込まれたら……それはそれで面白そうだけれど。責任はとりたくないなあとひとつ溜息をついて、アニスはやんわりフォローをいれた。
「でも、もしティアが王宮に遊びに行ったとしても、心配ないと思うよ?」
「どうしてそう言い切れるんだよッ」
 何に怒りを覚えているのかさえ定かでないまま、それでも憤懣やるかたなしといった風情のルークに、遊びすぎたかと微塵ほど反省しつつ、折角のネタ、どう持っていこうか思案する。
「だあって。聖剣借りたとき、陛下は私に「あと6年」って言ったんだよ?」
 それがどうしたっていうんだよ、と苛立たしげなルークに、アニスは可愛く小首を傾げて、あれって引っ掛かる数字だと思うんだけどなーと呟く。
「つまり陛下は、私の外見と導師守護役ってことから、私の年齢を14と踏んで6年、って数字を弾き出したと思うんだよね。陛下がキムラスカの王女様の年齢を知らないわけないだろうしー、ティアだってナタリアと同年代に見えるだろうしー。身も蓋もない言いかたしちゃうと、当たり障りなさげな私をダシに、気がなくても否定されればちょーっとムカつくお年頃ーなナタリアやティアを傷つけず、成人前のお嬢さん方はひとまずお付き合いの対象外って言ってるんだと思ったよ?」
 あーあー陛下も巧い言い回しの甲斐がないよねーティアやナタリアに向けてというより主にルークにパーティの女の子たちはいくら可愛くても対象外だから気を揉まなくていいって言いたかったと思うんだけどなー受け取る方がこんなニブチンじゃねーと肩を竦めて首を振るアニスに、ルークは食い下がった。
「でも! それこそロストセレスティ借りたとき、男と女でぜんっぜん態度違ったじゃねーか」
「じゃあさ。ルークは陛下の態度、逆の方が良かったの? 突然話をフられて戸惑う様子は殊の外愛らしいとかなんとか、言われてみたかった?」
「そ、それはちょっと勘弁……」
 引き攣るルークの顔を見て、アニスは許してやることにする。
「大佐は「女性なら誰でもいい方」って言ったし、陛下も可愛ーい女の子が好きってポーズをとってたけど。あれは花を愛でる域を出ないってか、あの陛下なら「芸の覚えは悪いが毛並みは最高の俺の可愛い方のジェイド」って言った方がいいかな? それと大差ないカンジだよ」
「……でもよ、それってアニスがそう思うってだけじゃん」
「そおだねー。なにしろ陛下はあの大佐を使いこなせるくらいだし? このアニスちゃんもまんまとブラフに引っ掛かっているかも、だねー」
 アニスはそう不安を煽りつつ、
「でもさ、小細工なんてしなくてもあの陛下なら、真っ向勝負で充分すぎるほどモテると思うんだけど」
 畳みかけるように落とした。
 ……そうだよな、地位も権力も財力だって、なんてったって王様だし、んでもってそのうえ名君だって評判だし、俺はなんとなく苦手だけどそれでもいい人っぽいのは判るし、男の目で見てもいい男だし背ぇ高いし……と今にも泣き濡れて蟹と戯れそうなルークの肩越しに、いいタイミングで戻って来た仲間の姿を見つけたアニスは、殊更華やかな声で出迎えた。
「あっ。ティア、おっかえりー。どうだった、コア屋さん」
「新しく入荷した、というのは本当だったけど。やっぱり手持ちの方が性能はいいわね。……あら、どうかしたの、ルーク?」
「アニス! てめ、知ってて……っ!」
 これ以上ない愛らしさで小悪魔は笑う。
「えへ☆ 暇は潰れたでしょ?」


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【あとがき】
アニスちゃんが思った以上に書きやすくて吃驚。書きながら、キャラクタ的に大佐と被りがちなところもあるアニスちゃんは、陛下といいコンビになりそうだなあと思ってみたり。
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