御題18 あいなんてしらない

■オリジナルイオン（ピオニー）

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　面白いとも、冗談じゃないとも思うんだけど。
　なんだかんだで、俗権で三弦琴を爪弾く君と音叉をもって信仰を律する僕は、結構似ている気がするんだ。

　当然容姿の話じゃないよ（まあ、僕が君の歳まで生きられたなら、君の向こうくらいは張れたと思うんだけどね）。人形として育てられた環境とでもいうのかな……そして、その形作られた器に中身が入りきらなかったところがさ。
　その『中身』自体は、まあ、あんまり似ていないよね。似ていないんだけれど（そもそも導師と皇帝では必要な資質が違うし）、でも、特性としては近いのかな、人の頭に立つ器量という意味で。正直、君のその来る者拒まずみたいなところはえらく勘に障るんだけど、基本的に人に対して関心の薄い僕をしてそう思わせるんだから、逆に興味深く感じるよ。それに、似た立ち位置にいるから判ることもある。君、すごく色々なものに恵まれていて、けれど本当に欲しいものは持っていないよね。適当に離れたところから見るだけで、それで満足しようとしている。いやはや、酔狂というか、ご苦労様というか。
　でもまあ結局、それは君が好きでやってることでもあるんだし、不公平だと思うんだよね。
　あと10年、僕に時間があったなら。レプリカなんか造らせなかった。預言というより実感として、この身は長く保たないって気付いていたから、次善の策として話に乗ったわけだけど（そうそう、レプリカの出来って今ひとつだよね。あれじゃあ導師という役職はともかく僕を継ぐのは難しいかな。君からも君の幼馴染みたちに言っておいてよ、詰めが甘いって）。なまじっか大きな力を持ったばかりにさ……力とそれを使う頭はあるのに身体がついていかないのって、ほんっと苛立たしいよ。その点、君は頑丈だよね。まあ、生き残るにはそうならざるを得なかったってのは判るけど、それでもやっぱり羨ましい。
　だから、最期にちょっと、悪戯を仕掛けさせてもらったよ。まったく、始祖ユリアもなかなかえげつない預言を残したものだよねえ。まあ、正確な情報ってのは得てして容赦ないものだけど。君に伝えた惑星預言、福音でもあり呪いでもある預言を相手に、さて君はどう動くかな。定められた滅日のまえに、この歪んだ世界を壊してみるも良し（君がやろうと決めたなら、僕より上手くできると思うよ）。でもまあ君は、ずぶとくしぶとく、とことん足掻きそうだよね。残念だなあ、それを、特等席で眺められないの。

　ああ、もう少し君と遊んでいたかった。
　この気持ち、なんて言ったらいいんだろうね。

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あなたへとどく20のことば：18 あいなんてしらない