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時折、此処の陛下はとても皇帝らしいですね、という主旨の言葉をいただきます。

陛下はたとえ王冠がくっついてなくても、えっらいイイ男ではあると思いますけれど、皇帝としての陛下に拘りたいワタクシとしましては、大変嬉しいお言葉です。

以下は、まあ、ウチの陛下はこんな人という、そんな話なので、宜しければ適当にお付き合い下さい。
なにぶんワタクシの妄想なので、「陛下は絶対こんな人!」という確固たる像をお持ちの方には、相容れないところもあるかと思います。御注意下さいませー。

さて、前置きをさせていただいたところで。
ピオニーがケテルブルグに追いやられたのが10歳前後、ですよね。ピオニーの母や兄についてアビス本編では語られていないので、ピオニーがどう思っていたのか推測するしかありませんが、年齢的には思春期前、それでも身の回りで何が起きているのか感じ取れる年頃で、かつピオニーは若葉より芳しい栴檀のような子供であった(に違いないと思っている)(むしろ爪の隠し方を知らないぶん、子供の頃の方が才気煥発にみえたりしたら楽しい)ので、実害などもあったりして……ピオニー自身、玉座っちゃ総じてあんまり座り心地が良さそうじゃねえな、とか、ケテルブルグに閉じ込められたのは幸か不幸か、とか思ったのではないかと思います。

そしてケテルブルグで、ジェイドやサフィールやネフリーに出会って。そこで初めて、玉座の価値を実感した……とか、そういう展開は実に王道で良いかと。うちのSS、『在りし日の歌』でもちょっと触れていますが、小さな頃から大人の権力争いを見ていて……権力争いは泥仕合の様相を呈することも多く、権力を争う理由が曖昧になり、権力争いそのものが目的となる……そのようにも見えていたものが、権力を得て何をするか、何ができるかということを考えたときに、その意義が明確になった、とか、そんな感じで。
ジェイドやサフィールの特殊な才能、それを潰すことなく庇護し、その一方で暴走しないよう馬銜を噛ませることができる。ジェイドやサフィールだけなら友達として行動することもできるけれど、(ジェイドやサフィールの仲間たりえる)特殊な子供たちを守るのは、一個人では難しい。(余談ですが、この辺を拡大解釈していくとアッシュやルークも特殊な才能を持つ子供なわけで、実にオイシイです)(なあルーク、どうしてお前はそんな、自分を要らないもののように言うんだ? 俺は、お前のような奴が楽に息をできるように……そのために此処にいるのに? ……とか、そんな話を何方か書いて下さいませんかねえ)
ケテルブルグは観光地、けれどとても静穏なところで、ネフリーはそんな街が好き。乱開発などさせるわけにはいかないけれど、これも一個人で頑張るには限りがある。
そうして、大切な人たちを守るための環境を整える力が権力にはあると気付いて……権力を握りたいと思うくらい大切な人たちに出会えて。それでピオニーは天辺を目指したのではないかなあ、と。

玉座に在って、何ができるか。また、何をしたいか。
それを見失わず、信念があって。だからこそ力を望み、なりゆきや預言ではなく自らの意志によって玉座を手に入れ、それに付随する代償をきっちり支払いながら、皇帝として凛と立つ陛下であって欲しいと思います。

ピオニーとネフリーの過去の漫画も……いまだに読んではいないのですが、継承権を捨てるとかなんとか、そんなやりとりがあったと聞きました。そのネタにしても、嫌々だとか押しつけられた皇帝の位だとか、そんな別に欲しくもないものを捨てると言われても、あんまり胸を打ちませんけれど。ピオニー自身が強く求め、それに向かって力を尽くしている、そんな『皆が価値をみとめているもの』ではなく『ピオニー本人にとって価値のあるもの』を捨てると……そういう血を吐き身を削るような選択であるからこそ、ネフリーをして身を引かせしめたと、そう考える方が燃える展開だと思うんですけどねー…。
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