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ネフリー(ピオニー)

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 広場を埋め尽くす人・人・人。そのなかのひとりとして、正装の貴方を見上げて。やっぱり、と思ったわ。
 貴方は私の、輝けるただひとつの星。けれど貴方のその光は、万民を照らしうるもの。私だけのものではないの。できることなら、その事実から目を逸らしたかった。でもそれは無理な相談。夜空の隅で密かに瞬く星ならば、こっそりと、手に入れることもできたのかもしれないけれど……貴方は星は星でもよりにもよって、誰の目にも明らかに燦然と白昼に坐すレムなんだもの。ね、もう、笑うしかないわよね。
 私の世界は、貴方を中心に回っていたわ。その自覚はあったの。だからこそ私は、貴方に恥じない私でありたかった。優しい貴方に寄りかかりたくはなかった。兄のような天賦の才を持たない身としては、それこそ努力するしかないわけで、これでも随分頑張ったのよ。……ふふ、学べば学ぶほど、広い視野を持とうと努めるほど、貴方の支配者としての資質を痛感するなんて、ちょっと皮肉だったかも。そう、心から貴方を慕いながらも判ってはいたのよ、レムを独り占めにはできないと。けれど、頭で判っていても……それでもとてもつらかった。その痛みをいまだ忘れていないのに……不思議ね、哀しみと同じくらい、それを……貴方の眩さを、誇らしく思うの。
 歓呼の響もしに、鷹揚な仕草で応える貴方。
 レムの光に、煌めく冠。
 胸に突き刺さるのは、思慕の情だけでなく。己の道を、己の意志で切り開いてみせた貴方への嫉妬。大きな声では言えないけれど、皇帝であることと善き為政者であることは必ずしも一致しないもの。けれど貴方は……、ええ、くだくだしく言わないわ。この人々の言祝ぐ声が、血筋だけではない……貴方の職能を示す何よりの証拠。悔しいけれど、やっぱり預言は正しかった。貴方を差し置いて他の何者に、皇帝の冠が似合うでしょう。
 私も負けてはいられない。今はまだ、群衆に紛れて、そっと見つめるだけだけど。近い将来、正面から貴方に会いに行くわ。……貴方の臣下として、相応しい姿で。

 ねえ、ピオニー様。
 選ばせたのは私。でも選んだのは貴方。
 私を失望させないで。貴方の選んだその道を、諦めたら許さないから。








(でも本当は、貴方が笑っていてくれるなら、それだけでいいの)

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あなたへとどく20のことば:14 あきらめたらゆるさないから
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